2025年の夏は、例年以上に暑〜い、暑〜い日が続いております。6月・7月にほとんど雨が降らず、連日猛暑日が続いたことで、棚田の水田も水が干上がり、例年とは異なる様相を呈しました。このような気候が農作業にどれほど影響を及ぼすのか、今回は夏場の草刈りと水田内の雑草処理の作業を紹介していきます。
■ 雨の少ない夏がもたらす雑草の猛威

通常、棚田では水を張って稲を育てることで、水生環境に弱い雑草の繁殖を抑えることができます。しかし今年のように雨が降らず水が干上がってしまうと、水田が乾燥し、乾燥に強い雑草が一斉に繁殖するようです。特に目立ったのが「クサネム」です。マメ科の一年草であるこの雑草は、乾燥した土でもぐんぐん伸び、稲よりも高く成長してしまいます。

このクサネムを放置しておくと、豆のサイズがお米と同じくらいなので稲刈りの時にお米と一緒に混じってしまい、非常に厄介です。
また、クサネムほどではありませんが、「イヌビエ」もところどころで見られます。こちらはイネ科の雑草で、一見すると稲と見分けがつきにくく、繁殖力も高いため、放置しておくとあっという間に広がってしまいます。

今年、復田した場所なので特に雑草が多いのかとも思いましたが、周りの田んぼを見てみると我が家の田んぼ以上に雑草が多いため、やはり今年の気候が大きく影響しているのだと思います。
■ 畦(あぜ)の草刈り作業
夏場の棚田作業で一番大変なのが草刈りです。棚田は山が近いため、草もすぐにボーボーに伸びてしまいます。畦の雑草を放置すると、害虫や獣害のリスクが高まるだけでなく、雑草の種が水田内に入ってしまう恐れがあります。今年は暑さのため草の伸びが早く、複数人で行ってもなかなか終わりません。
山側は木陰があるので少し涼しいですが、作業時間は一番暑い日中を避けて、休憩と水分補給をこまめに取りながら進めていきます。

畦の草刈りが終わると一気にスッキリするので仕事が終わった感が漂います。
広範囲を刈るなら断然、背負い式が腰への負担も少ないので楽でいいです
■ 水田内の手作業除草

畦の草刈りが終わった後は、いよいよ田んぼの中に入っての手作業除草です。外から見ていると「少しあるな」くらいの雑草も、実際に中に入ってみると、その数に圧倒されます。特にクサネムは稲の間から次々に見つかります。ただ比較的抜きやすいので、ある程度上の方から引っ張っても根からキレイに抜けてくれます。
ある程度抜いた雑草を田んぼの一角にまとめていくと、大きな山ができるほどの量になりました。これでも全体の半分も終わっていないと感じるほど、今年のクサネムの勢いは凄まじいものがあります。

加えて、イヌビエも細かく点在しており、こちらは根がしっかりしているため、根元を持ってしっかり引き抜かないといけません。雑草は稲の養分を奪うだけでなく、病害虫の温床にもなるため、手間はかかっても見過ごせません。

■ 今後の対策と反省点

今年の経験を通じて改めて痛感したのは、水管理の重要性です。水がないことで一気に雑草が増え、その後の作業負担が大きくなりますね。
また、初期除草のタイミングを逃さないことも課題です。田植え直後の除草剤散布や中耕除草を徹底することで、ここまで雑草が増える前に対策できたかもしれません。ただし、除草剤を使いたくないという場合は、田んぼの水位を高く保つことで雑草の発生を抑制することも可能です。しかし、今年のように雨が少ない年は、水位をキープするのが非常に難しいと感じました。
”小さな田んぼでイネつくり”という本で自分たちだけで機械や農薬などに頼らずお米を作る方法が紹介されています。

■ 終わりに

棚田での雑草処理は、ただの「草抜き」ではなく、稲作の成否を左右する大切な作業です。今年の猛暑と雨不足という中でも、丁寧に向き合うことで、美味しいお米の収穫に繋がると思うと頑張れるもんですね。
これからも棚田オーナーとして、作業内容を現場からリアルな声で届けていきたいと思います。
雑草との戦いはまだ終わりませんが、少しずつ、着実に進めていくしかありません!

コメント