芝刈り機の刃の切れ味が悪くなると、作業効率が落ちるだけでなく、芝生の切り口がきれいに揃わず、外観にも大きな影響を与えてしまいます。そのため、刃の状態はとても重要です。
我が家の芝刈り機も、少し前から切れ味が落ちてきており、そろそろ研磨をしなければと考えていましたが、この夏の厳しい暑さに負けて、つい先延ばしにしていました。
ここ数日で気温も少し落ち着いてきたので、このタイミングで刃の研磨を行い、久しぶりにスカッと気持ちよく芝刈りをしたいと思います。
刃にどのような症状が出ていたら研磨を行う必要があるか

刃を触ってみてもツルツルで、引っ掛かりが全くありません。※刃を触って横に滑らすと指が切れるので刃を触る際は十分に気をつけて下さい。
刃が切れなくなってきた、または以下のような症状が見られたら研磨を検討すべきです。
症状 | 内容 |
---|---|
刈った芝の切り口が裂けている/葉先がちぎれている | 刃が鈍くなっていて、鋭く切れなくなっているため、芝の茎を「切る」のではなく「引き裂く/引きちぎる」ような刈り方になってしまう。これが、見た目が汚くなるだけでなく、病気や枯れの原因になることもある。 |
刈り上げた後の芝が倒れやすく戻らない/倒伏が残る | 刃がキレイに切れていれば刈った直後、刈り跡がピシッと立つようになるが、鈍いと倒れたまま残る。 |
刈りにくさの増加/刈る時に引っかかる感じがする | 石や小さなゴミを噛んだ時でなく、全面的に負荷を感じるなら刃の切れ味の低下。 |
刈り面が白っぽく/ザラザラになる | 刈断面が滑らかでなく、小さな繊維が撓ったまま残ると光を乱反射して白っぽく見える。 |
音が変わってきた/振動が増えた | 刃先が欠けていたり、摩耗によるバランスの狂いが出ていることがある。 |
キンボシが「刃研ぎが可能」と明言しているモデルなら、これらの症状が出たら研磨を考えるべきです。
刃の研磨に必要な道具

キンボシ製の手動式芝刈り機で一般的な研磨に必要な道具は次の通りです。
道具 | 用途・ポイント |
---|---|
研磨セット GL‑100(キンボシ純正) | 専用のブラシ、研磨用コンパウンド(研磨剤)、研磨用ハンドル等が一式になっている。手軽に行える。 |
小型ドライバー(マイナスドライバー) | タイヤカバー、ホイルキャップ、Eリング(Cリング)などを外すために必要。 |
プライヤー/ラジオペンチ | 軸のパーツをつかんだり、外した部品を扱うときに使う。 |
ウエス(布)/段ボールなど | 作業中の汚れ取り/研磨剤が飛び散らないような養生用。 |
グリスまたは潤滑油 | 分解した軸などを組み直す際に潤滑させておくと、動きがスムーズになる。 |
保護具(手袋など) | 怪我防止、刃で指や手をカットするのを保護。 |

もしもっと本格的に砥石や研磨機を使えるなら、それも利用可能ですが、キンボシ純正研磨セットで十分な機能回復が期待できます。
研磨を行う際のコツや注意点

研磨作業をうまく、安全に行うためのポイントを挙げます。
- 機械を止め、固定すること
作業中に芝刈り機が動くと危険。ホイールや軸の部品を外すときやハンドルで回すときは確実に固定。作業台や台車、段ボールなどで土台を作ると安定します。 - 分解順序、部品の紛失防止
タイヤカバー→Eリング(Cリング)→ピニオンギア(回転を伝えるギア)など、順番があります。特にEリングは外すときに飛びやすいので注意。部品の向きや位置を記録しておく。 - 刃の向きと摩耗を確認する
刃の切れる側(刃先)の角度、下刃(ベッドナイフ)の状態などを確認。刃先がねじれたり、欠けたり、滑らかでなくなっていないか。大きな欠けがあると研磨だけでは直らない場合もある。 - 研磨剤の使い方
研磨コンパウンドを刃先につけ、専用ブラシで研磨。逆回転させて刃先と下刃を擦らせる方法がキンボシや他社でも一般的。リール刃・下刃の接触点を調整しながら研ぐ。強く押し付けすぎないように注意。 - 角度保持と均一性
刃全体を均等に研磨すること。片方だけ研ぎ過ぎると切れ味・バランスが崩れてしまう。たとえば、切れ味が戻るように、刃先の刃角をできるだけオリジナルに近づける。変形や反りがあれば交換も検討。 - 仕上げ
研磨後は刃を拭いてコンパウンド残りや金属片を除去、潤滑油またはグリスで可動部分を整備し、部品を元に戻す。締め付けトルクなど、説明書に沿って。動かしてみて異音がないか、スムーズか確認。
研磨前後での違い/切れ味の悪い刃と良い刃が芝生に与える影響

切れ味の悪い刃で刈っていると、切り口が汚くなり、どうしても芝生の見た目も悪くなってしまいます。
研磨前後でどのような違いがあるか、また芝生や見た目、健康面でどのような影響があるかを整理します。
順序 | 研磨前(切れ味が悪い刃) | 研磨後(切れ味の良い刃) |
---|---|---|
刈り口の見た目 | 刃先が鈍いため、茎が潰れたり裂けたりして、切り口がフサフサ/ギザギザに。光が反射して白っぽく見える。 | 鋭く切れるので切り口がシャープ、きれいで繊維が乱れない。光沢・綺麗さが出る。 |
芝の健康 | 引き裂かれた切り口は傷が大きく、乾燥・病気の侵入部になりやすい。回復に時間がかかる。 | 切り口が小さく、芝が早く回復しやすく、病害虫に強くなる。 |
見た目・密度感 | 刈った後の芝がバラツキが出たり、倒れた状態が残って、仕上がりが悪い。 | 均一でピシッと揃った刈り高が出やすく、庭・グラウンドがプロっぽく見える。 |
作業の負荷 | 押したり回す時に抵抗があり、動かしにくく疲れる。石などをかむと衝撃がある。 | スムーズな動きで作業が軽く、効率が上がる。騒音や振動も少ない。 |
寿命・長期コスト | 刃を頻繁に交換しなければならない、芝機本体への負担が増える。 | 刃を長く使える、メンテナンスコストが抑えられる。芝生や機械へのストレスが少ない。 |
実際に、「研磨を行ったあと」には芝を”刈る際の抵抗が少なく”なりスーっと刈ることが出来るので、“切れ味が鈍って紙を引き裂くような感覚”がなくなり、芝刈りが気持ちよくなりました。
研磨を行う頻度の目安
どのくらいの頻度で研磨すればよいかは芝の種類・使用頻度・刃に近接する異物(小石など)・保管状態などによって変わりますが、おおよその目安を以下に示します。
条件 | 目安 |
---|---|
軽く週1回程度芝を刈る/石などをあまり噛まない/刃・機械の保管が良い | 約2〜3か月に1回程度研磨をチェックし、必要なら研磨。 |
使用頻度が高い(毎週複数回)/ムラのある地面で石などを噛みやすい/芝が硬めの品種など | 月1回程度の研磨または刃先のチェックを強めに。 |
シーズン開始前/長期間使用しなかった後/異常を感じたとき | シーズン始めに一度きちんと研磨 or 点検。使用休止後は錆・汚れも見られるため。 |
キンボシを例に取ると、GL‑100研磨セット購入者のレビューなどに「研磨後、何度か芝刈りするとまた切れなくなってきた」という声もあり、切れ味の持続時間は使用状況次第であることが分かります。
我が家の芝刈り機も使用年数が経つにつれて、刃の切れ味が悪くなるのがが早くなってきています。
具体的な研磨手順例(キンボシ GL‑100 を使ったもの)

- 刃研ぎ前の準備
刃を研ぐ場所を確保し、機械を安定させる。刃やタイヤ付近に砂・土・ゴミがついていれば掃除。作業用手袋など装着。 - 分解
白いタイヤカバーをマイナスドライバーで外す。
その奥にあるEリング(Cリング)を外し、タイヤを取り外す。
ピニオンギア(タイヤの回転を刃に伝える小さなギア)を外すか、研磨セットの付属ハンドルで代用。 - 刃を研ぐ準備
研磨剤(コンパウンド)を専用ブラシにつけ、リール刃(回転刃)の刃先に塗る。 - 研磨動作
研磨セットのハンドルを取り付け、刃を芝を刈る方向とは逆向きに回す(逆回転)。そうすることで、刃先が下刃(ベッドナイフ)に対して擦れる形になり、切れ味が復活する。動かすときは滑らかに、強く押し過ぎないように。 - 繰り返し調整および確認
数回逆転→戻す、また逆転と動かしていき、刃先の手応え/音/切れ具合を確認。刃先に光沢が出ていれば研磨がきいてきているサイン。必要に応じて研磨剤を足す。 - 組み戻し・仕上げ
汚れ・金属粉をふき取り、全ての部品を元に戻す。Cリング・ギア・タイヤカバーなど。可動部分には潤滑油またはグリスを塗布。試運転でスムーズかどうか確認。刈った後の切れ味を確認。

注意できる落とし穴・留意点
研磨にあたってよくある誤り、失敗しやすい点をあげておきます。
- 過研磨:頻繁に強力な研磨を繰り返すと、刃の厚みが減ってしまい、強度が落ちたり刃先が持たなくなることがある。刃の寿命が短くなる。
- 角度が崩れる:刃先の角度(切れ角)が均一でないと、切れ味ばらつき・刃の片減りを起こす。
- 大きな欠け・損傷は交換を検討:刃先が大きく欠けていたり、歪んでいたり、ひどく摩耗している場合、研磨だけでは元に戻らない。買い替えが必要なことも。
- 錆・汚れの残し:研磨後にきちんと金属粉、コンパウンド、汚れをふき取りず、潤滑をしないと、錆びや劣化を早める原因に。
- 安全対策が不十分:手袋・保護眼鏡なしで作業すると怪我の元。部品を飛ばしてしまうこともあるので、Cリング等外すとき特に注意。
- 純正部品・純正道具の使用:キンボシではGL‑100等の純正研磨セットを推奨しており、他社のものだと合わない・危険になる可能性。
研磨を行うメリット

研磨をすることによって得られる主なメリットをまとめます。
- 見た目が大きく改善される:刈り跡が美しくなり、芝生全体の印象が良くなる。
- 芝の健康が保たれる:切り口が綺麗であるほど病害虫の侵入や水分蒸散・乾燥のダメージが少ない。
- 作業効率が上がる:抵抗が少なくなり、押し引きや回転がスムーズになる。疲れにくくなる。
- 機械の寿命延長:刃を鋭利な状態で使うことで負荷が均一になり、摩耗や部品へのダメージを抑える。
- コスト削減:刃の交換頻度を減らせる。新品購入よりは研磨費用がずっと安い。
研磨後の切れ味の維持方法

研磨したあとの切れ味を少しでも長持ちさせるためのコツもあわせて。
- 刈る前に芝を乾かす(湿っていると刃に負荷がかかりやすい)
- 土・砂・小石などが混ざっていない場所で刈るようにし、異物をなるべく避ける
- 刈高を極端に低くしない(刃と芝・地面の接触が増えると摩耗が激しくなる)
- 使用後は汚れを落とし、乾燥させ、油分を薄く塗るなど保管状態を良くする
- 定期点検:外観(刃先・刃角度・ねじれや欠け)を時々確認しておく
まとめ
キンボシの芝刈り機は「刃研ぎができる」構造を持っており、専用研磨セット(GL‑100)などを使えば、比較的簡単に切れ味を復活させることが可能です。(僕も暑さに負けずにもう少し早めに研磨しておけばよかったです。)刃の見た目や切れ味の低下を感じたら早めに研磨を行うことで、芝刈りの仕上がりも良くなり、芝の健康を保ちます。研磨作業自体は30分〜1時間程度で終わることが多く、大きな手間ではありません。適切な頻度で、正しい方法で研磨・手入れを重ねることが、長く美しい芝生を保つ鍵です。

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