滋賀県東近江市にそびえ立つ、標高約350メートルの赤神山(あかがみやま)。その山肌にへばりつくように鎮座する「太郎坊宮(阿賀神社)」へ、滋賀に遊びに来てくれた友人と一緒に訪れてきました。
いつもなら中腹の社務所近くにある駐車場まで車でビューンと上がってしまうのですが、せっかくの機会。「今日は一番下の登山口から歩いて登ってみよう!」と麓の駐車場に車を停め、約740段以上あるとされる石段を一歩ずつ踏みしめて登ることにしました。

空からはしとしとと小雨。少し薄暗い森の中に立ち並ぶ鳥居は、まるで現代から異世界へと吸い込まれていくゲートのような厳かな雰囲気を放ち、登る前から胸が高鳴ります。

太郎坊宮ってどんなところ?

「太郎坊宮(たろうぼうぐう)」という不思議な名前の由来や歴史を知ると、この場所を歩くのが何倍も面白くなるはずです。
- 約1400年前、聖徳太子も祈った聖地
太郎坊宮の歴史は飛鳥時代までさかのぼります。歴史の教科書でおなじみの聖徳太子が、国家の平和や人々の幸せを願って神様をお祀りしたのが始まりと伝えられています。 - 「太郎坊」は山を守る大天狗の名前
神社なのになぜ「〜坊」と呼ぶのかというと、この山には「太郎坊」という名前の強くて心優しい大天狗が住んでいたという伝説があるからです。天狗の太郎坊は、神社の守護神として山や信仰する人々を守り、奇跡を起こしてきたと言われています。 - 勝負の神様「正哉吾勝(マサカアカツ)」
ここでお祀りされている神様の名前は「正哉吾勝勝速日天忍穂耳命(まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのこと)」。とても長い名前ですが、意味は「正しく勝った、私が速やかに勝った」という勝利の宣言そのもの。そのため、古くは源義経をはじめとする名だたる武将、現代ではプロスポーツ選手や受験生、ビジネスパーソンが「ここ一番の勝負運」を祈願しに訪れる場所として知られています。
雨の静寂、そして巨岩が割れた「夫婦岩」を抜けて絶景へ

元旦に初日の出を見に訪れたときは、境内中が参拝客の熱気で埋め尽くされていましたが、この日は雨模様ということもあり、すれ違う人は数名ほど。静まり返った森の中、自分たちの足音と雨粒が葉を打つ音だけが響き、マイペースに心地よく登ることができました。
石段を登り進めると、目の前に現れるのが太郎坊宮の代名詞ともいえる「夫婦岩(めおといわ)」です。
高さ数十メートルもの巨大な一枚岩が、真っ二つに割れて幅数十センチほどの細い隙間ができています。伝説では「嘘つきや悪人が通ると岩に挟まれてしまう」と言われており、ちょっとしたスリルを味わいながら神妙な心持ちで通り抜けます。
岩の隙間を抜けた先に広がるのは、雨雲の合間から広がる東近江の田園風景と街並み。眼下に広がるパノラマビューを眺めながら一息つくと、登ってきた疲労が一気に吹き飛ぶほどの爽快感に包まれます。
本殿でしっかりとお参りを済ませ、帰り道もゆっくりと石段を降りていきました。雨のおかげで直射日光の暑さは和らいでいたものの、夏の高い湿度のせいで全身から汗が噴き出し、まるでサウナに入ったかのような爽快な汗だく状態に。往復するだけで全身を使う、最高の運動になりました。

10月開催!石段を一気に駆け上がる「太郎坊チャレンジ」

境内の案内を見ていると、10月に「太郎坊チャレンジ」というイベントが開催されるとのこと。
麓から本殿までの急勾配な石段を駆け登るタイムトライアルレースです。一斉スタートではなく1人ずつタイムを計測して競う方式のため安全性には配慮されていますが、あの過酷な石段を一気に駆け上がる姿を想像しただけで、自分の足がガクガクと震えてきそうでした。日頃から体を鍛えているチャレンジャーたちの脚力には心から脱帽ですね。
雨の日だからこそ味わえる特別な体験

画像は今年元日の様子です。
晴れた日の青空とパノラマビューも格別ですが、霧や雨煙が立ち込める日の太郎坊宮は、天狗がひょっこり現れそうな神秘的な空気に包まれます。
- 麓からの石段をじっくり踏みしめて異世界の雰囲気を味わう
- 壮大な夫婦岩をくぐり抜けて絶景に息をのむ
- 勝負の神様にパワーをもらい、心地よい汗を流す
滋賀を訪れた際は、ぜひスニーカーを履いて、歴史と自然が織りなす太郎坊宮のパワーを全身で体感してみてください。


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