ここ最近はずっとぐずついた雨天続き。晴れ間を見つけては伸び切った芝を刈るのが精一杯で、庭木の手入れといえば実が大きくなってきたみかんの樹を少し手入れするぐらいでした。
先日の朝、妻が
「プラムの樹、ケムシが信じられないくらいビッシリついてるよ!」
慌てて庭のプラムの樹へ駆け寄ると、息を呑む光景が広がっていました。青々としていたはずの枝先がすっかり葉を落とされ、黒褐色のボディに白い毛を蓄えた立派な毛虫たちが、びっしりと身を寄せ合っていたのです。
昆虫食界隈では「桜餅の香りがする食材」と絶賛されるこの毛虫。害虫として駆除・殺虫剤で処分してしまうのはもったいない。
「……待てよ、折角ならサクラケムシを、、、食べてみよう。」
引きつる妻を背に、ケムシの捕獲の開始です!
そもそも「サクラケムシ」とは?毒はあるの?

毛虫と聞くと誰もが「刺されたら激痛が走るのでは?」と身構えます。チャドクガやイラガの毒棘を思い浮かべるのも無理はありません。
しかし、このモンクロシャチホコの幼虫(通称:サクラケムシ)には毒針毛(どくしんもう)が一切ありません。フサフサとした毛に覆われていますが、触れてもかぶれたり腫れたりすることはない無毒の毛虫です。
幼虫はソメイヨシノやプラム、アンズなどバラ科の葉を好んで食べます。大量の桜やプラムの葉をモリモリと消化するため、体内に芳香成分(クマリンなど)をたっぷり蓄えており、これが「桜餅の香りがする」と言われる所以のようです。
実践!サクラケムシの収穫テクニック

- 用意するもの
- 長めの園芸用ピンセットまたはトング(僕は面倒なので手作業)
- 深さのある密閉容器(空気穴を開けたタッパーやネット付きバケツ)
- 軍手(毒はありませんが、素手で獲ると緑の液体(尿?)がつきます)
- 収穫のコツ
- 枝先を軽く揺するとぽろぽろと落ちてくるため、下にバケツを構えて落とすのが一番手っ取り早いです。
- 狙うのは、体長4〜5cmほどに育った終齢幼虫(赤褐色〜黒褐色に毛が生えたもの)。若い小型のものより、丸々太った個体の方が脂と風味があるようです。
ものの5分ほどで、食べるには十分な量が確保出来ました。
美味しさを決める「下処理」ステップ

昆虫を料理する上で、最も重要なのが徹底した下処理みたいです。ここを手抜きすると青臭さや雑味が残ってしうようです。
1.フン出し(絶食):

収穫したサクラケムシをザルやネット付き容器に入れ、葉を与えずに半日〜1日ほど置きます。体内に残ったフンを排泄させることで、口当たりが一段とクリーンになります。
2.冷水洗い:
排泄が終わったら、たっぷりの冷水で表面の汚れや落ちた毛を優しく洗い流します。
3.沸騰湯でしっかり塩茹で:
塩をひとつまみ入れた熱湯で、2〜3分間しっかり茹で上げます。野生の昆虫には寄生虫や雑菌のリスクがつきものです。加熱殺菌は必須工程。茹で上がると、鍋から立ち上る湯気がすでにほんのり桜の香りを帯びてきます。
4.冷水締めと水気取り:
茹で上がったら冷水に取って粗熱を取り、キッチンペーパーで余分な水分をしっかりと拭き取ります。これで下処理完了です。
調べた結果のおすすめレシピ&美味しさランキング
| 順位 | メニュー | 調理法 | 味わい・風味の特長 |
| 第1位 | サクラケムシの桜餅風 炊き込みご飯 | 研いだ米・薄口醤油・酒・昆布と炊き込む | 炊飯器を開けた瞬間、部屋中に桜の香りが充満。上品な豆ご飯のような旨味。 |
| 第2位 | 素揚げ(塩パラパラ) | 170℃の油でカリッとするまで揚げる | パリッとした薄皮の奥から濃厚なナッツのようなコク。ビールのお供に最高。 |
| 第3位 | 香草バターソテー | ニンニク少々とバターでじっくり炒める | バターの乳脂肪とサクラケムシの芳醇なハーブ香が合わさり、フレンチの趣。 |
| 第4位 | シンプル塩茹で | 下処理の茹でたてをそのままポン酢で | ダイレクトに素材の味を体感。少しプチッとした皮の食感が好みを分けるかも。 |
下処理後の姿を前に……湧き上がる「やっぱり無理かも」の葛藤

下処理(塩茹で)をしっかり済ませれば、気持ち的にもすんなりいけるだろう――そう思っていました。
しかし、茹で上がって水気を拭き取り、キッチンペーパー並んだサクラケムシたちを直視した瞬間、猛烈なブレーキがかかりました。
「……うん、どう見ても立派な毛虫だ。」
桜の良い香りは確かにふわっと漂ってくるものの、視覚が脳に強烈な警告を発してきます。下処理前に思い描いていた「炊き込みご飯」や「香草バターソテー」など、とてもじゃないですがガッツリいく勇気はどこかへ吹き飛んでしまいました。
「とりあえず、形が一番ごまかせてカリッと香ばしくなる素揚げなら……数匹だけならいけるはず。」
方針を大幅に変更し、今回は最小限のチャレンジャー枠として素揚げで挑むことにしました。
米油でカリッと!素揚げの実食レビュー

フライパンに米油を熱し、下処理済みのサクラケムシを数匹投入。水分が弾けるパチパチという音とともに、表面がカリッと揚がっていきます。油を切って器に盛り、軽く塩をパラパラとまぶして完成です。
意を決して、1匹目を口へ運びました。

「桜餅のような味」と各所で絶賛されていて、「一体どんな味なんだろう?」と半信半疑でしたが、実際に噛み締めてみると香ばしいナッツ系のコクが口いっぱいに広がります。
皮は少し硬さが残るものの、カリッとした食感と塩気が合わさり、目を閉じてケムシの姿を完全に忘れさえすれば、普通に「ビールのおつまみ」として成立する美味しさです。
3匹目で異変……甲殻類アレルギーの影
「お、これなら意外とイケるかも!」と2匹目を平らげ、3匹目を口にした直後のことでした。
ふと、喉にわずかな違和感を覚えたのです。
昆虫の外骨格にはエビやカニと同じ「キチン質」が含まれているため、「甲殻類アレルギーがある人は控えた方がいい」という注意喚起が頭をよぎりました。
「あっ、これアレルギー反応がうっすら出始めているな……。」
石垣島に住んでいる頃に、川エビを食べ過ぎて甲殻類アレルギーが出ていたのですが、ここ数年、症状がなかったので大丈夫だと思っていましたが、少し反応してしまいました。
チャレンジを終えて
事前のリサーチで一番のおすすめとされていた「桜餅風 炊き込みご飯」ですが、ご飯と一緒に炊き込む勇気は僕にはありませんでした。そして最後のアレルギー反応の兆候もあり、結果的には素揚げ3匹で終了という何とも情けない結果で終わりました。
味自体は噂通り香ばしく、「見た目のハードル」と「アレルギーへの警戒」という2つの大きな壁を身をもって実感した、スリリングな実食体験となりました。
来るべき未来の食糧危機に備えて、身近な庭先にこれほど栄養豊富な食材が存在すること、そして**「自分には少しアレルギー反応が出る」と身をもって知ることができた**だけでも、十分に大きな収穫です。
庭のプラムを守りつつ、未知の食体験と身体の限界を同時に学べた、忘れられない一日となりました。



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